原監督就任と丸加入で史上最強?2019年度開幕にみる巨人の強さについて紹介
2019年度のプロ野球が開幕しましたね。
既に何試合か消化しましたが、「巨人が強すぎる」との声が多いです。
巨人が強い理由には
・丸佳浩選手が加入
・原辰徳氏が監督就任
の2つが挙げられているようです。
果たして本当にそうでしょうか。
多数意見をあえて疑ってみると分析力が鍛えられます。
そこで今回は、分析力を鍛えるために2019年度開幕にみる巨人の強さについて紹介します。
丸佳浩の加入で巨人は最強チームになったのか?
2018シーズンオフに大型補強として注目されたのが「丸佳浩の巨人入団」です。当時の口コミでは
「広島の丸が巨人に入るなら、来年巨人は優勝するかもね」
と言われたほどでした。
しかし、その評判を鵜呑みにしては分析力が鍛えられませんので、疑うことを前提に分析してみましょう。
2007年度優勝と似ている
カンのいい人は小笠原道大選手の加入を思い出すはずです。
2006年に小笠原道大選手が日本ハムから巨人へ移籍し、翌年ほぼ期待どおりの活躍をして前年度4位だった巨人を優勝へ導くことに貢献しました。
丸佳浩選手と小笠原道大選手の移籍前の成績を比較してみましょう。
打率 | 本塁打 | 打点 | |
小笠原 道大 | .313 | 32本 | 100点 |
丸 佳浩 | .306 | 39本 | 97点 |
非常に似ていますよね。打撃の主力にこのレベルのパフォーマンスを発揮できる人材がいると、打線は機能しやすいです。
前年度優勝チーム・広島の戦力ダウン
移籍元の広島が戦力ダウンになるので、他球団とついていた戦力の差が一気に縮まります。
「丸がいなくても他の選手で補えば大丈夫」
という声もありますが、丸佳浩選手はクリーナップの柱を務める大砲でしたから得点力の低下が不可避の事態です。
原辰徳の監督就任で巨人は最強チームになったのか?

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原辰徳監督は7度のリーグ優勝・3度の日本一の実績のある名将ですので、彼の巨人監督就任も効果大でしょう。
ただ、名将というと
・川上哲治
・野村克也
・仰木彬
の名が必ず挙がり、原辰徳の名がなかなか出てきません。なぜだと思いますか?
試合中の戦略家としてはいたって普通だからです。奇妙な戦い方をする監督ではありません。
こだわりがあるとすれば、
打撃:相手が右投手には左打者、左投手には右打者
守備:相手が右打者なら右投手、左打者なら左投手
という思考ですが、この思考は他の多くの監督に採用されています。
選手の心に情熱の火を灯す
ではなぜ優勝に導くことができるのか。それは、
選手の人心掌握に長けている
からです。彼の声かけにより多くの選手が「やってやる!」という気になれるのです。
WBC監督時にイチローがスタメンにいましたが、当時交わされた次のやりとりが有名です。
イチロー:僕に構わずバントのサインを出してください。
原辰徳:バントが必要ならサインは出す。でもオレはイチローが見たいんだ。そんなこと、お前さんは気にするな。
「オレはイチローが見たいんだ」と言われたイチローはやる気にならないわけにいきません。結果、それまで不振だったにもかかわらず、決勝打となるタイムリーを放ち、優勝することに成功しました。
7度もリーグ優勝できる秘訣は、こういった声掛けの部分にあるものと考えられます。原辰徳監督の声かけにより選手の心に情熱の火が灯るのです。
「原ブランド」の力

原辰徳監督は
・7度もリーグ優勝
・3度も日本一
・WBCも優勝
と、これ以上ない実績を積み重ねてきましたのでブランド力があります。
「原ブランド」の下に集まってきたのは何名かいますが、中でも
・宮本和知
・元木大介
の2名のコーチが特徴的です。
テレビバラエティ色の強い彼らの加入により、チームの雰囲気が明るくなりました。
練習風景や試合でのベンチの様子を見ていても、コーチや選手が楽しんでいる雰囲気が漂い、それが選手のプレーにも如実に表れています。
前年度眠っていた本塁打王ゲレーロが再生?
ゲレーロ選手が再生したことも、巨人の戦力としては大きいです。
ゲレーロ選手と言えば、元々中日時代から「性格的に扱いが難しい」評判がありました。高橋由伸前監督も扱いに困るほどでありましたが、「原ブランド力、ここにもあり」ということなのか、原辰徳監督との間では良い人間関係が築けているようです。
ゲレーロ選手は原辰徳監督より直接指導を受け、次のようにコメントをしていたようです。
素晴らしい方だということは知っている。キャンプ初日に特別なレッスンをしてもらい、意気に感じるし、誇りに思う。うれしい。
現にゲレーロ選手は2019開幕シーズンから絶好調で、プレーの様子からも精神面で充実しているのが窺えます。原辰徳監督の期待に応えようと一生懸命さが伝わります。
原ブランド力の効果絶大です。
丸佳浩も「原ブランド力」に惹かれた?
丸佳浩選手も「原ブランド力」に惹かれたと考えられます。と申しますのは、巨人入団の理由について次のように語っていたからです。
非常に高く評価していただいたのもそうですし、原監督と話して自分を必要としてくださっている熱意を感じた。子供の頃からプロ野球といえば『東京ドーム』。憧れというか夢というか、これが決め手だった。
※引用元:2018年12月12日付け日刊ゲンダイDIGITAL記事 「原監督は喜色満面だったが・・・FA丸獲得で巨人が買った“火種”」 より
丸佳浩選手は元々巨人ファンだったそうで、移籍の決め手としては最終的にその部分に行き着いたのでしょう。
ただ、よく考えてみてください。誰に口説かれてたのですか?
昭和末期~平成初期の巨人時代を築き上げた「伝説の若大将・原辰徳」ですよ。
その張本人から相当の熱意でもって期待の声がかかれば、断る理由が見つからないほどです。
ここにも「原ブランド力」ありです。
2019年度開幕にみる巨人の強さの本当の秘訣とは?

ここまで原辰徳監督の就任と丸佳浩選手の加入に関して巨人のチーム事情について紹介しましたが、これだけで巨人は本当に優勝できるのでしょうか?
いや、決してそうではありません。なぜなら、野球は個人の力だけで勝つことは難しいからです。
では、2019年度開幕シーズンにおいて「巨人が強い」と感じられるのはなぜか?
その本当の理由について考えられるのは次の点です。
(1) 吉川尚輝の成長
吉川尚輝選手の成長が第一に挙げられます。
彼は2018年度から2番打者を任されるようになりましたが、7月頃からヒットを量産し始め、上位打線が機能するようになったのです。
2019年における巨人の打順は
1番:吉川尚輝
2番:坂本勇人
3番:丸佳浩
とされました。
相手チームから見れば、これほど脅威を感じる上位打線は従来の巨人になかったイメージです。
7~9番打者をホームに踏ませる力が強大
この上位打線を見ると、一般的にはマシンガンのごとく打線が切れないイメージに映るでしょう。
しかし、それは初回に限っての話で、巨人の場合は逆に4~5番打者で打線が切れやすいのです。ですから、
「1~3番出塁→4~5番タイムリー」
というパターンよりも、
「7~9番出塁→1~3番タイムリー」
というパターンの方が多くなる傾向です。
7~9番は出塁しにくいかというと案外そうでもなく、ちょっとした成り行き(偶発的なヒットや四球など)で出塁します。その機会での得点を確実に狙うかのような打線です。
ですから、相手チームとしては7~9番の出塁を許すと失点のピンチであり、巨人の1,2番打者がそれだけ厄介だということです。
一発攻勢による大量得点のアシスト
勿論、巨人には
・丸佳浩
・岡本和真
・ゲレーロ
と一発のある打者が3人もいますので、出塁率の高い吉川尚輝選手は一発攻勢による大量得点の流れを作るアシストにもなります。この流れによる得点は、
先述の「1~3番出塁→4~5番タイムリー」
のパターンです。7~9番打者が出塁しない場合は、ホームラン打者3人の一発攻勢が頼りとなります。
吉川尚輝選手の絡む2つの得点パターンの存在は球界一の脅威です。
(2) 外国人投手2人の無事開幕ローテ入り
2018年度途中から活躍しているヤングマン投手とメルセデス投手が2019年開幕ローテに無事入ったのも、巨人としては相当大きいです。
特にヤングマン投手は2018年では活躍していた中で骨折し、戦列を離れたため、その分巨人は優勝争いに遅れをとりました。
開幕からローテに入り、ケガすることなくペナントを終えれば2人だけで年間20勝以上できる見込みがあるほどです。
チームの年間勝利数80勝以上がおおよその優勝ラインでありますので、2人の投手で20勝以上というのは相当価値が高いです。
色々分析してみてスポーツ観戦を楽しもう!
ここまで分析力を鍛えるために2019年度開幕にみる巨人の強さについて紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
2019年度開幕にみる巨人の強さは実績監督の就任と大型補強の他に
・若手選手の成長
・昨年からの好調選手の躍進
にもあることについてご理解いただければ幸いです。
注目すべきところは、
昨年からどのような戦い方に変わったのか
という点です。
と、このように色々分析してみるとあらゆる物事の見え方が変わってくるので面白いですよ。