「世の中は不公平」は嘘?だまされないための方法を紹介!
あなたは「世の中は不公平」だと思うことがありませんか?
例えば、次のように思うことがよくあるのではないでしょうか。
「あの人と私とは同じ人間でありながら収入の差が大きい」
「あの人は得意なことが多いが、私には何のとりえもない」
「あの人は差別している」
など。確かに、世の中は理不尽(不条理)なことが多く、それが付き物と言っても過言ではありません。しかし、そんな不公平さにとらわれすぎても良いことがないのも事実です。
そこで、「世の中の不公平さ」による苦悩を和らげる道具を紹介します。それは、
「事実以上の解釈をしない」
です。この道具を使うと、「世の中の不公平さ」を意識から遠ざけて精神的に落ち着くことができます。
では、「事実以上の解釈をしない」という道具について詳しく紹介します。
「事実以上の解釈をしない」とは?
私たちは事実を事実のまま素直に受け止めているでしょうか?
ドイツの哲学者ニーチェの名言の
「事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである。」
の示すとおり、私たちは自分にとって都合の良い解釈をしているものと考えられています。
実は、その原因は私たちの脳にあり、脳にコントロールされているのです。例えば、脳は次のような解釈をするものです。
・「交通事故に遭ったのは、神社へお参りにいかなかったからだ」
・「前世で悪事を働いたから、天罰が下っているのだ」
このような解釈はスピリチュアル系のカウンセラー等が放つセリフでも見受けられます。
では、神社へお参りに行けば、交通事故に遭わないのでしょうか?仮に前世で悪事を働いたことが事実だったとしても、どうすることもできませんよね。
そのような解釈を見直して「事実以上の解釈をしない」ことが必要になってきます。
根本思想:公正世界仮説(認知バイアス)
この道具は、「公正世界仮説」という考え方を根本思想としています。私たちの脳は時々錯覚を引き起こすことがあり、それを「バイアス」と呼び、その一種として「公正世界仮説」」というものがあります。
「公正世界仮説」とは、心理学者メルビン・ラーナーの提唱したものでありますが、簡単に言えば脳はストーリー性を持たせないとスッキリしない性質があるというものです。
上記に挙げた例にストーリー性を持たせると、次の図式になります。
神社に参拝した → 交通事故に遭わない
前世で悪事を働いた →現世で天罰が下る
こう解釈することで何となくスッキリしませんか。どんな物事にもストーリー性があると気持ち良くなるものなのですが、これは脳がそういう性質を持っているからです。脳は勝手に物事にストーリー性を持たせて、自分の心の動きを安定させようとしているのです。
このことから、脳は小説家や脚本家の性格を持っていると言っても良いでしょう。
お試しに
では、冒頭に挙げた3つのセリフで「事実以上の解釈をしない」を使ってみましょう。
<1>まず、脳がどう解釈しているか
まず、脳の解釈により「あの人」にストーリー性を持たせようとするはずです。例えば、
・「あの人がラッキーなのは今のうちだけだ」
・「あの人は前世で良い働きをしたんだ」
・「あの人の手相は幸運の形をしているらしい」
のように。
<2>次に、脳のだましに気づく
そして、次のことに気づくべきでしょう。
・「脳のいたずらだ」
・「脳にだまされた」
<3>自分を変える解釈をする
脳のだましに気づいたら、その歪んだ解釈を消去して自分を変える解釈を考えてみてはいかがでしょうか。
冒頭のセリフの例で言えば、
・収入の差が大きい → 収入アップにつながる方法を考える
・とりえがない → スキルを身につける
・差別する → 差別を受けないように自分の態度を変える
のように可能でしょう。どうやっても他人を変えることはできませんので、自分を変えるしか方法はありません。でも、自分を変えることが難しいことではありません。
脳にストーリーを作らせずに自分で作ろう!
ここまで「事実以上の解釈をしない」という道具について紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
冒頭のセリフのように、よく「とりえがない」と言う人がいますが、これも脳の描くストーリーの一部です。脳は「ラクをしたい」と思っている怠け者で、それを主張するために「とりえがない」という台本を作って、私たちにそのセリフを言わせているのです。つまり、
「とりえがない」という理由 → 「何もしない」
というストーリーを作ろうとします。
「何もしない」が先にあって、後で理由を作って、それでストーリーが完成するのです。それが「公正世界仮説」という認知バイアスのメカニズムです。
これからは、「事実以上の解釈をしない」を使って、脳にストーリーを作らせないようにしましょう!本当のストーリーはあなたが自分で作るものです。脳の描くストーリーには怠け者が怠けるためのセリフが設定されるので、くれぐれもご用心ください。