知識や情報を得たのになぜ実行できないのか?便利に活用できる方法を紹介!
多くの自己啓発系の本には「周りの人が反対することをした方がいい」と書かれていますが、この主張をあなたはどう捉えますか?
「確かに成功者はほとんど周囲の考えと違うことをやっているよね」
と捉える方が多いと思われますが、ほとんどの人はそこで終わっています。
納得しているのは自分なのに、まるで他人事のように捉えているのです。不思議ですよね。
しかし、この状態では実行が伴わないのです。
せっかく貴重な時間を割いて新しい情報を得たのですから、活用したいと思いませんか?
そこで、今回は理解した情報を実際に活用できるようにするために「理解」の取り扱い方について紹介します。
「理解した」とはどの程度のことを言うのか?
あなたはどの程度のことを「理解した」と捉えていますか?
理解には次の段階が考えられます。
レベル1:主張の意味に納得した程度
「主張の意味に納得した程度」で「理解した」と捉えるパターンが最も多いです。
しかし、このレベルでの「理解した」では実行に移すことが難しいです。
例えば、「早起きした方が仕事の能率がいいよ」とアドバイスをもらったとします。
「そうなんだね。」
とアドバイスの意味に納得するものの、実行に移すとは限りません。
この段階で頭の中で何が行われているかと申しますと
「言っている意味には納得できた。しかし、今まで自分が大事にしてきたこととどれくらい重要度が違うのかはわからない」
という自己説得(セルフトーク)です。
重要度の違いがわからないと、結局アドバイスをもらう前の行動を続けてしまうのです。
レベル2:気になっている点を確認した程度
「主張の意味に納得した程度の理解」をレベル1とすると、レベル2として「気になっている点を確認した程度の理解」が挙げられます。
「気になっている点を確認した程度の理解」の原因は脳の「RAS」にあるものと考えられます。「RAS」は「気になっていることにしか意識を向けさせない」脳の機能のことです。
例えば、妊婦さんはベビー用品ばかりに目が行くものですが、これも「RAS」による現象です。
あなたはネットの記事や本、セミナーをどんな基準で選んでいますか?
それほど深く考えて選んではいないものの、この際にもやはり「RAS」が働いて類似情報を集める結果になっているはずです。
類似情報を複数集めて「やっぱりそうなんだ」と確認するのですが、あくまでも確認作業に過ぎず、実行までには至りにくいです。
レベル3:納得した仮説を疑う程度
納得した仮説を信じる段階では信者と同じで、理解のレベルは低いです。そこでもう1段階上げるとなると「納得した仮説を疑う程度の理解」も必要です。
例えば、「体を動かすのはダイエットになる」という医師の主張に納得したとします。
そこでまず行うのは
「納得できる主張だね。だけど、実際そうなのか?」
と疑いの目を持ち、反対の意見を持つ医師の仮説を検索することです。すると、
「体を動かさなくてもダイエットできる」という主張に出会います。
しかし、この段階でもまだまだ実行に移すことは難しいです。なぜなら、疑うばかりでは何もできないからです。
レベル4:各立場の仮説について説明できる程度
もう1段階上がると「各立場の仮説について説明できる程度の理解」になります。
様々な立場の仮説について説明できるということは、
・共通点(どんな点が同じか、あるいは似ているのか)
・相違点(何がどう違うのか)
・メリット
・デメリット
などが頭の中で整理できているはずです。ここまで理解ができていると「かなり詳しいね」と言われるようになります。また、ある程度は無意識に実行に移すことができるようになります。
しかし、これでもまだ実行に移れるようになるには詰めが甘いです。なぜなら、知識をひけらかして優越感を味わうだけになってしまうからです。
「知識のひけらかし」はなぜ真に理解しているとは言えないのか?
世の中に知識をひけらかす人間は結構いますが、真の理解者ではありません。なぜなら、
「知識をひけらかした。快感。終わり。」
で思考停止してしまい、そこから先がないからです。
ちなみに、「紹介しているのは知識 “だけ”」という本やネットの記事、セミナーは山ほどありますが、「どのように活用したらいいか」というテーマについてはほとんど取り扱われていません。
ですから、知識を得る際に「どのように活用したらいいか」というテーマについて自分で設定する必要があるのです。
レベル5:仮説を実行して何らかの感触を得ている
最上級(レベル5)の理解は「仮説を実行して何らかの感触を得ている状態」です。
いくら説得力のある仮説の説明ができたとしても行動が伴うとは限りません。
例えば、あなたが「毎朝4時に起きる習慣を身につければ億万長者になれる」という本を読んで納得し、それ以外の方法についても他人に説明できる程度(レベル4)の理解まで得たとします。
あなたは、どの方法を実行しますか?
どの方法でも実行すれば何らかの感触を得られるはずです。
これが最上級の理解です。ここで得る感触は「知識のひけらかし」程度の理解レベルで得ることは不可能です。
その感触は人により様々です。毎朝4時に起きる習慣を身につけて億万長者になる人がいれば、ならない人もいるでしょう。
ならない人の原因は何でしょうか?
原因を追究して仮説を修正し、新しい仮説を立てることになるでしょう。
これ以上の理解のレベルは?
どんな物事も完全に理解したということはありえませんので、レベル5を超える理解のレベルはありません。
なぜなら、すべては仮説に過ぎないからです。世の中で正しいとされる仮説は、ただ単に「便利で使い勝手がいいから正しい」と扱われているだけです。
「1+1=2」という計算も仮説です。「1」という数字は「仮に数量を1と表したら」という仮定ありきで使われるものですから。その仮定ありきで物事を捉えれば実生活に便利だから、「正しい」と “仮に” 言っているだけなのです。
仮説が実生活に使えるものであるならばそれでいいのです。
それ以外の仮説を立てる必要があるのなら、その都度新しい仮説を立てて検証して何らかの感触を得ていけばいいのです。
仮説の究極は正しさではなく、便利さです。
根本思想:「解るとは自分が変わること」
この道具は、歴史学者・阿部謹也氏の著書の言葉を根本思想としています。
阿部謹也氏は次の言葉について「わたしにとって大きなことばだ」と著書『自分のなかに歴史をよむ』の中で語っています。指導教官に言われた言葉だそうです。
「解るということはそれによって自分が変わるということでしょう」
上記で最上級の理解のレベルについて「仮説を実行して何らかの感触を得ている理解」と紹介しましたが、この言葉がベースとなっています。
「理解」に何らかの実行が伴わないと自分を変えることはできません。
実行しても必ずしも変わるとは限りませんが、実行しなければ変わる可能性ゼロです。
理解したことを実際に活かしたい方は時々この指導教官の言葉を思い出してみてはいかがでしょうか?
理解を活用へつなげるために行動を伴わせよう!
ここまで「理解」の取り扱い方について紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
せっかく得た情報や知識も「わかった。終わり。」で済ませたら記憶の奥の方に追いやられて気づかぬうちに外へ抜けていってしまいます。
そこで、理解のレベルを次のように上げていただくことをオススメします。
レベル1:主張の意味に納得した程度
↓
レベル2:気になっている点を確認した程度
↓
レベル3:納得した仮説を疑う程度
↓
レベル4:各立場の仮説について説明できる程度
↓
レベル5:仮説を実行して何らかの感触を得ている
どんなに歴史的に偉い人の主張であっても仮説に過ぎません。1,000年以上も信じられてきた天動説も歴史的に偉い人が主張したものですが、大航海時代になると地動説が唱えられ、それが便利な仮説として今日においても活用されています。
仮説は正しいか否かではなく、便利であればいいのです。そもそも正しいか否かは誰も突き止めることはできません。
便利な仮説だと思ったら実行に移しましょう。それこそが最上級の理解です。