祝う習慣を知らないのは恥!日本でクリスマスを楽しむ意味とは?
あなたはクリスマスを祝う意味をご存知ですか?
祝うからには祝う対象があるはずですよね。
他の祝い事において祝う対象と言えば
・就職
・結婚
・出産
などがそうですが、クリスマスでは何を祝うのでしょうか。
確かに「楽しければ意味などわからなくてよい」という考え方もあります。
ただ、その考えではただの猿真似をするだけですよね。明確に意味を把握した上で行動するのが人間です。
そこで、今回は日本でクリスマスを本質的に楽しむ方法について紹介します。
日本でクリスマスを本質的に楽しむ方法とは?
ここで冒頭の疑問「クリスマスでは何を祝うのか」に対する答えを先に述べておきます。
その答えとは「イエス・キリストの誕生」です。
と言っても、日本のクリスマスには「イエス・キリストの誕生」を祝うニュアンスがほとんどありませんよね。日本はキリスト教国ではないからです。
しかし、日本はイエス・キリストと全く関係ない国かと言うとそういうわけでもありません。
実は、次の方法により日本でクリスマスを本質的に楽しむことができるのです。
西暦との関係を意識して過ごすこと
そこで、次の質問にお答えください。
日本人にとってイエス・キリストが関係しているものは何ですか?
西暦
ですよね。日本でごく少数認知されているキリスト教の概念のうち「西暦」については明確に受け入れられているのです。
「西暦」はイエス・キリストの生まれた年の翌年を元年として数えられる暦であり、日本では明治時代の西欧化に伴い1872年から使用されるようになりました。
日本のクリスマスはキリスト教の本質から大きく離れているものの、「西暦」の存在により「イエス・キリスト誕生記念」を祝う意義が生じているのです。
皇位継承の度に「昭和」や「平成」などの元号は変わりますが、西暦は変わらず使われ続けますので、その限りでは「私たちはイエス・キリストの誕生記念をベースにして今後の日々を歩んでいくものである」と言えます。
外国でのクリスマスの過ごし方とは?
日本でのクリスマスの過ごし方は外国と違いますよね。どんな違いがあるのでしょうか。
国によって違いがありますが、主として次の3点に共通点があります。
(1) 家族でクリスマスディナーを楽しむ
外国ではクリスマスの日を休日として家族でクリスマスディナーを楽しみます。
特に、アメリカでは家族や親戚同士でプレゼントを交換する習慣があり、賑やかな日となります。
ちなみにクリスマスでは「メリークリスマス!」という挨拶の言葉で交わされますが、どういう意味かご存知ですか?
「メリークリスマス!」の意味は使う時期によって異なり、
・12月24日日没前:「良いクリスマスをお過ごしください!」
・12月24日日没~25日日没:「クリスマスを楽しもう!」
という区別があります。日本の大晦日と元日の違いに近いです。
前者は「I wish you a」が、後者は「Have a」が「merry christmas」の前に付き、それぞれ省略された形で「メリークリスマス!」と発せられます。
日本の年末年始に近いものと言えば、年賀状のようにクリスマスカードを贈る習慣があるのも外国の特徴です。
(2) 七面鳥を食べる
国によってクリスマスで食べるものは異なりますが、外国で共通しているのは七面鳥を食べる習慣です。
外国のクリスマスで七面鳥が食べられる理由は何だと思いますか?
それは17世紀での出来事にあります。
外国では元々クリスマスでガチョウを食べる習慣がありましたが、17世紀にイギリスからアメリカへ移住した移住者がインディアンと出逢い、七面鳥を食べたことがきっかけで習慣が変わったのです。
移住した当時、アメリカの土壌で作物を栽培することが難しく移住者は飢餓に苦しみました。そんなときにインディアンが七面鳥を差し出してくれたおかげで救われたのです。
それ以降、七面鳥がアメリカの感謝祭の定番料理となり、ヨーロッパ諸国にも伝わったのです。
(3) シンプルな菓子を食べる
外国では、日本のようなデコレーションケーキではなくシンプルな菓子を食べる習慣があります。
シンプルな菓子とは
・焼き菓子(クッキーなど)
・パウンドケーキ
・菓子パン(パネットーネやシュトーレンが代表例)
といったものです。
フランスのクリスマスケーキは日本のものに近い?
フランスでは「ブッシュ・ド・ノエル」(「クリスマスの丸太」の意)というロールケーキを食べますが、食感は日本のクリスマスケーキに近いです。
それもそのはずで、
・スポンジ生地
・生クリーム
・フルーツ
などで作られるものだからです。丸太をイメージして樹皮の部分をココアクリームで彩られたものが多いのが特徴です。
なぜ日本のクリスマスは外国と違うのか?

- クリスマスケーキ
以上、外国でのクリスマスの過ごし方でご覧いただきましたように、クリスマスは日本と外国とで大きな違いが見受けられます。
違う理由については次の2点が考えられます。
(1) 発端が商業であること
外国ではキリスト教を発端としているのに対し、日本では商業を発端としているという違いがあります。これが第一の要因として考えられます。
日本のクリスマスで「イエス・キリストの誕生を祝うこと」について意識されにくいのは商業が発端だからです。
日本のクリスマスと言えば、
・チキンを食べる
・ケーキを食べる
・子どもにプレゼントを贈る
などが定番で「祝う」より「消費」ですね。
それもそのはずで、元をたどっていくと次の歴史があることに気づきます。
日本のクリスマスの祖先は明治のクリスマス業?
日本では20世紀初頭に明治屋がクリスマスの商品を売り出したのを皮切りに、クリスマスの商品販売活動が全国的に広がっていきました。
・1910年に不二家がデコレーションケーキを発売
・1919年に帝国ホテルでクリスマスパーティを開催
その後も国内で次々にクリスマスの行事が増え、12月25日の大正天皇祭(戦前の休日)が設定されるに伴いクリスマスの習慣が各家庭で普及していきました。
日本人がクリスマスを祝う意味について理解できないのはこのためで、宗教が発端ではないからです。
(2) テレビの影響が大きいこと
日本のクリスマスはテレビの影響も大きく受けています。
上記で外国のクリスマスの過ごし方で「家族でディナーを過ごす」という点について紹介しましたが、日本でも1970年代までは外国と同じだったのです。
しかし、1980年代になると「恋人と過ごすクリスマス」のイメージが浸透していきました。これは外国にない特徴です。
その動機となったのは、
・松任谷由実の「恋人がサンタクロース」
・山下達郎の「クリスマス・イブ」
の2つの流行音楽です。
JR東海のCM効果が絶大?
特に「恋人と過ごすクリスマス」のイメージを決定的に根付かせたのは、
「JR東海のCM」(1988年~92年放映)
です。同CMにはクリスマスの日に女性が恋人を待ちこがれる描写があり、山下達郎の「クリスマス・イブ」が流れ、それを見た私たちの頭の中に
・「きっと君は来ない ひとりきりのクリスマス・イブ」という歌詞と音楽
・恋人を待ち焦がれている女性の映像
がループすることになったのです。その影響が大きく、「クリスマスの日にカップルでホテルが満室になる」という社会現象にまでなりました。
視覚と聴覚に植え付けられるイメージは絶大です。
クリスマスの意味を理解して楽しさの深みを味わおう!
以上、紹介しましたように日本人がクリスマスを本質的に楽しむには
「今年は西暦何年?」
「イエス・キリストが生まれて何年?」
という意識を持ちながら、クリスマスディナーやデザートを楽しんで過ごしていただくことをオススメします。
「イエス・キリストが生まれて何年?」という意識があれば歴史を尊重することにもつながりますから、その意識でクリスマスを楽しむのが望ましいことです。
過去の歴史の中で生きていた人々のおかげで現在の私たちがあるわけですから、その点を再認識するという意味でクリスマスはありがたいものではないでしょうか。