泣くと楽になるのは本当?泣くことでストレスを解消するメカニズムを紹介!
あなたは悲しくなるとき、涙が出てくることがありませんか?
実は、心理学的には
・「悲しいから泣くのである」
・「泣くから悲しいのである」
の2つの説が併存しています。しかし、どちらも否定し得ないというのが実状です。
確かに「泣くと楽になる」というアドバイスもよくあるものですが、「泣くから悲しい」を前提で考えてみると、
「涙を流すと、余計に辛くなるのかな」
と思ってしまいますから、真相を究明してみることは結構重要なことです。
そこで、今回は「泣くから悲しい」の真相を探りながら、泣くことでストレスを解消するメカニズムについて紹介します。
「泣くから悲しい」は本当か?
一般的には「悲しいから泣く」と考えられるものですが、その原因と結果を転回させて「泣くから悲しい」とする説があります。これは、心理学において研究者の名前をとって「ジェームズ=ランゲ」説と言われています。
これを図式にすると、
悲しい出来事 → 涙腺を刺激 → 「悲しい」という感情
となります。
しかし、否定説も存在しており、現在のところ、すべての出来事について「泣くから悲しい」と言えるわけでもないようです。
「泣くから悲しい」の否定例
例えば、あなたの飼っていたペットが病気で亡くなったとします。「泣く」と「悲しい」のどちらが先に来ますか?
この場合の「悲しみ」は、ペットの死亡により生じるのであって、「泣く」によって生じるわけではないですよね。
また、人によっては「泣く」とは限りませんので、あくまでも「泣く」は「悲しみ」の結果の一つに過ぎないものと言えます。
つまり、この例の場合には「悲しいから泣く」という流れが自然だと言えます。
基本概念:カタルシス(精神浄化)
人は泣いたり笑ったりする動物でありますが、これには「カタルシス」が求められることが原因と考えられます。
「カタルシス」とは、「心の中のモヤモヤしているものを浄化させること」の意味を表すギリシャ語の言葉です。
人の心の中は普段あらゆる気持ちが混合していて、モヤモヤの塊のような状態になると、無意識に浄化させる言動に向かいます。その際の言動こそが、特定の感情を想起させる出来事や趣味などに対して向けられます。
ここで趣味に向けられると述べましたが、「カタルシス」は元々アリストテレスが演劇用語として使っていた言葉なのです。
「カタルシス」の使用例
「カタルシス」は、あらゆる場面で使われています。
大事な人や物を失った場面
大事な人や物を失った場面では、「悲しみ」や「無念さ」など複雑な感情で心の中がモヤモヤしていますので、そんなときに「泣く」ことで「カタルシス」になります。
よく「泣くと楽になる」というアドバイスをされるカウンセラーや助言者がいらっしゃいますが、その効果は本物です。「泣くと楽になる」効果こそ、「カタルシス」の結果です。
ドラマや音楽を視聴する場合
ドラマや音楽を視聴する場合でも「カタルシス」の効果があります。
退屈なときには「虚しさ」や「寂しさ」などの複雑な感情が心の中でモヤモヤしています。そんなときにドラマや音楽を視聴して感動することで「カタルシス」となり、心が軽くなります。
ドラマや音楽でなくても、スポーツや旅行などでも同等の効果があります。
人は「カタルシス」を求めて「泣く」
以上のことから、「悲しいから泣く」を否定できない例もあることについてご理解いただけたでしょう。
なお、「泣く」には、「カタルシス」という無意識の目的があるとも言えます。このことを図式にすると、次のとおりです。
悲しい出来事 → モヤモヤ → 泣く → カタルシス
つまり、人は往々にして心のモヤモヤを抱え、そのモヤモヤを晴らすためにカタルシスを求めて「泣く」や「笑う」などの手段を使っているということです。
ということは、「悲しいから泣く」というよりは「心がモヤモヤだから泣く」の方が言い方としてふさわしいかもしれません。
感情を込めて閉じ込められた精神を解き放とう!
ここまで「泣くから悲しい」の真相を探りながら、泣くことでストレスを解消するメカニズムについて紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
「泣くから悲しい」説は、必ずしも当てはまるとは限りません。
また、「泣く」には、心のモヤモヤを晴らしたいという思いを本能的に放出させたい「カタルシス」の目的があるとも言えます。
ときには泣き、ときには笑い、感情を放出させることで精神が浄化して楽になります。
そのため、悲しいときには思い切り泣き、楽しいときは思い切り笑って、あなたの心の中に閉じ込められたモヤモヤをクリーンにしましょう!