他人事ではない?児童虐待のニュースに学ぶ「人間関係を良くする知恵」について紹介
児童虐待のニュースが相次いでいますが、あなたはどのように感じていらっしゃいますか?
親が自分の子を虐待するなんて常識的には考えられませんが、何らかの背景がありそうですね。
その背景について調べてみたところ、色々なことがわかりました。
そこで、今回は児童虐待のニュースに学ぶ「人間関係を良くする知恵」について紹介します。
児童虐待の原因とは?
児童虐待の原因には次の2つが考えられます。
(1) 親のストレス
仕事や育児、貧困などから親は多大なストレスを抱え、その発散先が子どもに向けられることが第一の原因として考えられます。
パワハラやいじめなどもこれが原因で、目下の者や無抵抗な弱者が狙われ、罵詈雑言や暴行を受けたりします。
(2) 「親を敬え!」という思想
日本には「親を敬え!」という思想がありますよね。
それは儒教道徳です。
儒教自体は日本において5世紀頃から存在していますが、儒教をもとに家族倫理として確定されたのは18世紀頃のことです。1398年に中国の洪武帝が発布した「六諭」が江戸幕府に伝わり、寺子屋の教科書に採用されました。
それが1890年に制定された教育勅語に取り入れられ、日本の道徳となったのです。
「六諭」の内容については次のとおりです。
・父母に孝順せよ
・長上を尊敬せよ
・郷里に和睦せよ
・子孫を教訓せよ
・おのおの生理に安んぜよ
・非為をなすなかれ
この思想には穴があります。それは
「目下の者を尊重せよ」がないこと
です。目上の者はこの儒教道徳でもって目下の者を支配しようとするため、児童虐待やパワハラが起こるのは必然的なことです。
儒教道徳を重んじると上位者の言いなりになる
筆者は今でも親に意見すると「親の言うことが聞けないとはダメな人間だな。」と言われます。
幼少時から親の言うことを素直に聞くようにしていたのですが、その結果気が付けば次のような人間になっていました。
・指示待ち人間
・会議で何の意見も言えない人間
・飲みの誘いを断れない人間
など。「ゆとり世代」と言われる現代の若者にもこのような特徴が挙げられますが、筆者も前職の入庁当時そのような人間だったのです。(さすがに2年目には脱皮しましたが。)
このように、儒教道徳を重んじると上位の立場の言いなりになるのです。
児童虐待を防ぐには?
児童虐待を防ぐにはどのような手段が考えられますか?
少なくとも考えられるのは次の2つです。
(1) 悩む親は行政機関や病院に相談する
親がストレスや貧困、子育てなどに悩んでいるのなら、まずは行政機関や病院に相談することが望ましいです。
現状では、悩む親御さんには「誰かに相談する」という概念がありません。あるいは、「相談=恥ずべきこと」と思い込んでいるのではないでしょうか。
ですが、相談する以前に誰かの力を頼って生きていますよね。
例えば、あなたの食している食品は誰が作っているのでしょうか?
生産者ですよね。
ケガや病気で苦しかったらどうしますか?
病院に行きますよね。
このように人は誰でも普段から誰かに頼っているわけですから、行政機関や病院に頼るくらい何てことないはずです。「風邪を引いたら病院に行く」ような感覚で相談してみてはいかがでしょうか。
(2) 親は子のサポート役に徹する
「親が子のサポート役に徹する」という方法はいかがでしょうか。
と申しますのは、子どもが親の言うことを聞かないのは生まれつきの性格やしつけが悪いからではなく、親が子どもの話を聞かずに自分の意見を押し付けることに原因があると考えられるからです。
例えば、
親が一方的に理想を子どもに押し付けるのではなく、子どもに
・「あなたはどうしたいの?」
・「手に入れるためにはどうしたらいいと思う?」
・「それをしたらどんなことが起こると思う?」
などと問いかけをし、子どもの答え方次第で親が対応を考えていくことが望ましいです。
これは「コーチング」と言われるもので、アメリカでは主流の指導法です。
勿論、子どもの要求通りにする必要はありません。話を聞いてあげるだけでもだいぶ効果が違うはずです。
児童虐待のニュースから学べることは?
以上のことから学べることは何だと思いますか?
ここまで
・行政機関や病院に相談する
・子のサポート役に徹する
というお話をさせていただきました。
現状では、
・誰にも相談せずに我慢する
・親の言うことを聞くようにしつける
という方法ですが、比較してみると気づきますよね。
そうです。それは、
人間同士相互に尊重し合うことが自由を得る唯一の手段であること
です。
「人間相互に敬え!」であるべきこと
元々、上記で紹介した「六諭」には幕府が支配統制を確立させるという目的がありました。現代では将軍のような独裁者は存在しませんので、「目上の者を敬え!」ではなく「目上か目下かに問わず、人間相互に敬え!」であるべきです。
ですから、目上の立場は目下の立場に対して自分の意見を押し付けるのではなく相手の意見をしっかり聞き、目下の立場は目上の立場に建設的な意見を主張することが望ましいです。
そのような環境を設けることが現代の私たちに求められています。
相互に建設的な意見を主張できる環境を作っていこう!
ここまで児童虐待のニュースに学ぶ「人間関係を良くする知恵」について紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
児童虐待の背景はストレスの問題以外に儒教道徳があるのです。
親を敬うための教育勅語と尊属殺の刑は既に廃止されましたが、儒教道徳は今もなお残存しているのです。
それが児童虐待やパワハラに関係しているものと考えられます。
しかし、文部科学省がそれについて言及して動くことは期待できませんので、私たちで努力をしていく以外に方法はなさそうです。
これからは私たちの力で建設的な意見を主張できる環境を作っていきましょう。