「信じる者は救われる」は嘘?人生が思い通りになる方法とは?
あなたは、物事を決める際に何を基準にしていますか?
例えば、「今することを決めた後」には、
・目の前にある仕事をする
・資格取得のための勉強をする
・一休みをする
などの行動になっていくと考えられますが、その行動を選ぶ決め手となっているものは一体何でしょうか。
なぜ、このようなことを問うかと申しますと、この決め手(意思決定の基準)については案外意識されず、“何となく”という直感的な判断で決めることが多いと考えられるからです。
ただ、そう言うと。
「“何となく”で決めても、べつにいいのでは?」
というツッコミもあるでしょう。しかし、現実的には“何となく”で決めたことにより思い通りにならない場合が多いものです。特に、
「○○の予定だったけど、▲▲になることは予想できなかった」
という結末になることがよくありますね。
そこで、そうなることを減らすために、今回は意思決定の基準の作り方について紹介します。
意思決定の基準とは?
冒頭の「目の前にある仕事をする」の例で、意思決定の基準を確認してみましょう。
「目の前にある仕事をする」という意思決定をするからには、例えば、
・「目の前にある仕事が片付かないと落ち着かない」
・「目の前にある仕事を一番に片付けないと次の段階に進まない」
などの点が挙げられ、これが意思決定の基準になっているはずです。
ところが、実際には「目の前にある仕事」よりも優先すべき仕事が存在する可能性もあるものです。それが突然浮上した場合に、「思い通りにならなかった」という結果になってしまうのです。
その原因には「信念」が考えられます。
「信念」を変えるべき?
“何となく”で決めることは「信念」が前提にあるためだと考えられます。
「目の前の仕事」の例で申しますと、「目の前の仕事=最優先事項」という「信念」が前提になっていると言え、これを前提に仕事を進めると「目の前の仕事」以外の重要な仕事に気づきにくく、いつまでたっても最優先事項の仕事にたどりつきません。
例えば、船が転覆し、海に流された乗客を救出する作業をしているとします。そこで、あなたが小さなボートに一人ずつ乗せる作業をしていると、別の作業員が他の場所で大きなボートに大人数単位で乗せる作業をしているのを見かけたら、あなたはどう思いますか?
「そんな手段があったのか!?」
と思いますよね。
ここで重要なのは「目の前の仕事」に集中するばかりでなく、「より重要な仕事があるのでは?」という意識も忘れてはならないということです。
ということは、「目の前の仕事=最優先事項」という「信念」を変える必要があると言えます。
しかし、「信念」を変えると言っても、「信念」自体が気づかない間に出来上がる性質もありますから、この「信念」自体をどうにかしたいものですね。
そこで、「信念」そのものについて次に紹介します。
そもそも「信念」とは?
人は生きるために多くの情報を頼りにするため、自分にとって「これは信用できる」と思えるものを無意識に信じるものです。
例えば、
・幼少期に大人から受けた情報
・想像だけで納得できる情報
について、疑いもせずに信じ切ってしまうものです。これが「信念」を形成する材料となります。
先述の「目の前の仕事=最優先事項」という「信念」は「想像だけで納得できる情報」を材料にしているものと言えますが、世界は自分で思っている以上に広い世界ですので、
「世界 > 自分の想像の世界」
というイメージに書き換えなければなりません。
このように、これまで抱えてきた「信念」を常に変えてみることで、あらゆる新しい可能性を引き出すことができます。
「信念」を変える例
例えば、「定年退職をすれば高額な退職金や年金がもらえて安心」という信念はいかがなものでしょうか?
この信念は終身雇用制度を支持する人のものでありますが、あえて次のようにツッコミを入れてみましょう。
・「定年後に仕事がなかったとしたら?」
・「定年前に死亡したとしたら?」
いくら多額の財産を持っていても、人間、「何もしなくていい」という状況が一番苦しいですから、定年の有無にかかわらず、死ぬまでやりがいのあることを持っていたいものです。
また、定年後のことを気にしていても、定年前に病気や事故などにより死亡してしまう可能性も否定できません。その点からも、死ぬまでやりがいのあることを持っているべきと言えます。
と、このように従来の「信念」を疑ってみると、より良い考えを生み出すことができます。
根本思想:西田公昭「信じるこころの科学」
この道具は、社会心理学者・西田公昭氏の「信じるこころの科学」という考え方を根本思想としています。
西田公昭氏は、オウム真理教の事件を機に社会的に広まった「マインド・コントロール」という概念に対して心理学的な見地でもって研究をされ、「信じるこころの科学」を明らかにしました。
社会心理学者・西田公昭の考えとは?
西田公昭氏の著書『「信じるこころ」の科学』には、次の言葉が書かれています。
こころの支えとなっていた重要な信念が個人から消えてしまうことは、個人にとって精神的な危機です。となると、失いにくい対象を獲得して、失いにくい信念を形成、維持することが、こころの支えとして機能しやすいといえます。
※引用元:『「信じるこころ」の科学』(西田公昭・著)3頁
信念は自分自身にとって「諸刃の剣」といえます。だから、私たちは上手に信念に対処しなくてはなりません。
※引用元:『「信じるこころ」の科学』(西田公昭・著)6頁
ビリーフ・システムと呼ぶ「こころの装置」の働きによって、自然・社会の環境について目や耳の感覚受容器から連続的に収集されてくる情報を整理して、いかに対応していくかを決定づけている
※引用元:『「信じるこころ」の科学』(西田公昭・著)33頁
西田公昭氏は「信念」を「こころの支え」(または「こころの装置」。以下同)と表現し、人間の行動の指針は「こころの支え」によるものと捉えられています。そして、その「こころの支え」を常に点検しておく必要があり、点検を怠ると心身に害を及ぼす危険性があると主張されています。
「こころの支え」には、
・見えない力(神や仏、霊力など)
・重要な人物(先祖や親、家族など)
の存在そのものと考え方が根幹部分を占めるものと考えられますが、それらが時と場合によっては人生において障壁となることもあります。
例えば、船が沈没するときに「神様、助けてください」とお祈りしても、危険な事態が変わるわけではありません。「神」を信じるより「その状況からどう切り抜けるか」を考えて行動することに専念すべきでしょう。
「神」があなたを見放すことがあっても、「建設的な考え方」はあなたを見放そうとしません。なぜなら、「建設的な考え方」は「失いにくい信念」だからです。
よりよい「信念」を形成するには、上記の引用の中にある
・「失いにくい対象」
・「失いにくい信念」
という言葉がヒントになるのではないでしょうか?
「信念」と「疑念」のバランスを保って豊かな人生にしよう!
ここまで意思決定の基準の作り方について紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
これまで信じてきた「信念」のほとんどが
・幼少期に大人から受けた情報
・想像だけで納得できる情報
からくるもので、それらを“何となく”直感的な判断で取り入れてきたものと思われますので、常に「信念」に「疑念」をかけて点検していくことが望ましいです。
そうすれば、誤った「信念」により「こんなはずではなかった!」という思い通りにならない悩みになることが激減するはずです。
「何かを信じる」というより、常に「これまで信じてきた考え方より良い考え方は何か?」と問い続ける姿勢でいる方が心身ともに健康維持できるのではないでしょうか。
もし、「思い通りになっていない」ことがありましたら、「信念」に疑いをかけてみることをオススメします!